留学をしていると大抵の場合、自炊生活をすることになるのではないでしょうか。
私はアリカンテでの留学中は様々な食材にチャレンジして毎日を美味しく過ごすことができていたのでとても幸せな日々でした。
しかし、留学先では国や文化が異なるだけにとどまらず、見たこともないような食材に出会うことも多々あります。
美味しそうだけど調理法が分からない、果たして美味しいのか分からない、そんな食材にも出会うことでしょう。
そこで、今回はスペインの自炊生活がますます楽しくなる意外だけど美味しい食材と、その調理方法を紹介します。
ウツボ
序盤からいきなり超級に意外な食材を紹介します。
日本ではドン・キホーテの水槽でお馴染みのウツボですが、食用としてのイメージはごく一部の地域を除いて殆ど持たれていないのではないでしょうか。
そんなウツボ(スペイン語ではモレーナ/Morena、写真手前側)ですが、メルカド・セントラル(中央市場)の水産物セクションではよく見かける、いわば定番の魚の1種になっています。
定番とは言えども骨がとても多いので決して食べやすい魚とは言えませんが、脂がのっていながらあっさりした味わいも同時に楽しめるので大変美味です。
調理法
スペインではパエリアの具材として使用されることが多いウツボですが、私は敢えて別の方法で調理しました。
煮付けやスープなどと試行錯誤した中で個人的に最も気に入ったのが唐揚げでした。
唐揚げにする際、ウツボは市場でぶつ切りにしてもらいましょう。
「A la plancha」と言えばその場でぶつ切りにしてもらえます。
ぶつ切りにしたウツボには塩焼きを作るような感覚で塩をつけておきましょう。
塩をつけ終わったら溶き卵につけ、その後で小麦粉をつけ、強火で揚げます。
中華系スーパーでパン粉が手に入ることもあるので、パン粉もつけてフライにするのもおすすめです。
また、お好み焼きに使うお好みソースも中華系スーパーで買えることが多く、それを出来上がったウツボの唐揚げにかけるとこれがまた美味です。
実際に当時のルームメート(アルゼンチン人)や日本人の友人にも食べてもらったのですが、評判は上々でした。
ドラド(ヨーロッパヘダイ)
銀色に輝くタイは魚としてはスペインの食卓の定番であるドラド(ヨーロッパヘダイ、写真左側)です。
見た目が輝かしいこの魚は脂の乗りがとても良く、味も素晴らしいです。
日本でマダイを調理するのと同じ感覚で調理できるので海外での自炊に慣れていない人でも扱いやすい魚でしょう。
調理法
一番無難なのが何と言っても塩焼きです。
メルカドで「Fillet por favor」と言えばフィレ加工してもらえますので、その後はフライパンなどで塩焼きにするだけです。
しかし、ドラドを徹底的に味わい尽くすのであればはらわただけ抜いて丸焼きにしてしまうのが個人的におすすめです。
なお、はらわたを抜いてもらうだけにする場合は「Solo limpiar」と言えば大体の場合は通じます。
まずは火が通りやすくなるようにドラドの体の両サイドにバツ印を入れます。
その後はドラドを塩もみします。塩もみしたドラドをオリーブオイルにつけておくとさらに美味しくなります。
焼く際にはフライパンでもいいですが、サイズが大きい個体もあるのでオーブンの方が楽です。
焼きあがったらこんがり焼きあがった魚の皮からふんわりホクホク、そしてジューシーな肉まで味わい尽くしましょう。
サメ
メルカドに行くと案外よく見かけるのが30㎝~1m程度の小型のサメ(スペイン語でサメを表すティブローン/Tiburonよりもピンタロハ/Pintarojaという名前で売られていることが多い)です。
意外かも知れませんが、実はスペインでもサメ類はよく食べられている魚の1種で、パエリアなどの具材として使われています。
脂の乗っていながらさっぱりとした身とコリコリとした軟骨が美味です。
なお、サメは軟骨魚類という部類に入るため、他の魚のように小骨が全くないので大変食べやすいです。
調理法
メルカドで買うときはあらかじめ皮を剥いでもらえます。
「A la plancha」と言えばさらにぶつ切りにしてもらえます。
なお、スペインではヒレを使うことがないので、私は店主にお願いしてフカヒレ用のヒレをおまけでもらっていました。
サメ肉はよく塩焼きにしたりトマト煮込みにしたりして食べていました。
トマト煮込みにするときはフライパンで大きめのトマトを3~4個焼きながら潰し、ソースみたいにしていきます。
潰し終わったところで塩をまぶしたサメ肉を加え、煮込んでいきます。
ニンニクと醤油を入れるとさらに美味しく仕上がります。
ヒレについては台所で干していました。
スペインはとりわけ夏場を中心にとても乾燥しているので、干しやすいです。
干したヒレをお湯に入れて煮詰めていくととろみのあるスープへと変身していきます。
味付けは塩や醤油などで調整しましょう。醤油は中華系スーパーで買えます。
ムール貝
ムール貝(スペイン語ではメヒヨーン/Mejillon)というと高級食材のようなイメージがありますが、スペインに住んでみると実は意外に安く買うことができます。
どれくらい安いかというと500~700円もあれば1㎏は買えます。
余談ではありますが、私はメルカドの魚屋の常連だったので何か買う度にいつもおまけで小さいレジ袋1袋分のムール貝をもらっていました。
調理法
ムール貝というと白ワイン蒸しが有名ですが、スペインではパエリアの具材になることが多いです。
私も実際にパエリアの具材に使ったことがあり、美味ではあったのですが毎回大量にもらっていたので殆どはアサリ汁ならぬムール汁にしていました。
しかしさすがはムール貝、大変すばらしいダシがとれます。
私のオリジナルムール汁の作り方ですが、お湯の沸いた鍋に醤油と塩(量はお好みで調整)を入れ、そこにムール貝を入れてさらに沸かします。
いわゆる手抜きレシピではありますが、ムール貝からとれたダシのパンチが強く効いたうま味のスープは食欲不振や二日酔いの時などでも食べやすいのでおすすめです。
ウサギ
メルカドをまわっていると初心者なら誰もが2度見するのがウサギ(コネーホ/Conejo)です。
ウサギというと日本ではペットのイメージですが、スペインではれっきとした食材の1つとして位置づけられています。
ウサギ肉は目がついたままの状態で売っていることが多いので心理的なハードルが高いのは否めませんが、パエリアの具材になっているだけのことはあって実は美味しいのです。
味は鶏肉に酷似しているとよく言われますが、まさしくその通りなのです。
不幸か幸いか、スーパーマーケットでは部位(モモ肉、胸肉など)ごとにパックで売られていたので心理的なハードルはやや低く抑えることができました。
調理方法
ウサギ肉の難点として、上手に下ごしらえをしないと臭みが強くなってしまうということが挙げられます。
そのため、事前に臭みを抜く必要があるのですが、そこで活躍したのが牛乳でした。
調理する前に一晩牛乳に漬けて寝かせておくことで臭みが抜けるだけでなく、フライパンで焼きあがったときにはこんがりと焼きあがり、さらには鶏肉にやや脂を乗せたような美味しい味わいになります。
私は牛乳に漬けて焼くだけでしたが、他にはパエリアや丸焼きなどといった方法で食べることができます。
おわりに
今回は意外だけど美味しい食材ということで5種類の食材を紹介してきました。
日本では馴染みのない食材でも食べてみれば意外に美味しいものです。
留学などでスペインに住むことになったら様々な食材にチャレンジして美味しい生活を送ってください。
