『情熱の国』と呼ばれ、フラメンコやタパスなど独自に育まれた文化や、欧州サッカーが強いことなどで知られているスペイン。
そんなスペインには、世界中から多くの観光客、留学生などが訪れますが、いったいスペインのどの部分に魅力を感じて訪れるのでしょうか?
また、実際に滞在してみて魅力と感じることには、どのようなことがあるのでしょうか?
今回は、情熱の国スペインの魅力を7選、厳選してご紹介していきます。
多様な地域性と豊富な観光名所
スペインの魅力は、何と言っても多様な地域性に支えられた豊富な観光名所ではないでしょうか。
スペインの観光名所と言えば、バルセロナのサグラダファミリアや、マドリードの王宮、グラナダのアルハンブラ宮殿、トレドの旧市街などが有名ですが、それだけにとどまりません。
各地の美しい教会はもちろん、地中海沿岸の風光明媚な海岸、南部アンダルシア州などで見られる白い家々の景観、フランスとの国境に位置するピレネー山脈など、見所に溢れています。
スペインの国土は、実に多様性に溢れており、地中海沿岸部や中部を中心に砂漠のような景観が見られると思えば、北部では森林が青々と茂っています。
なお、スペインにも離島があり、地中海に浮かぶバレアレス諸島では世界遺産に指定された旧市街と風光明媚な海岸をもつイビサ島が有名です。
さらに、大西洋にはカナリア諸島が浮かんでおり、スペイン最高峰はテネリフェ島のテイデ山です。
さらに、実はアフリカ大陸にもスペインの領土があります。
メリリャとセウタがアフリカ大陸のスペイン領の都市としてモロッコに接しています。
多様な地域性は言語にも表れており、スペイン語以外にも様々な地域言語が存在します。
バルセロナのあるカタルーニャ州ではカタルーニャ語、バレンシア州ではバレンシア語、ガリシア州ではポルトガル語によく似ているガリシア語、バスク地方ではバスク語も併せて使用されています。
このように、スペインには多様な地域性があり、他の町や地域を訪れる度にいつも新しい発見があるので、スペインという国に飽きることはありません。
多様な食文化
スペインには多様な地域性があるように、食文化にも地域ごとに多様性があります。
代表的なスペイン料理と言えば、パエリアやトルティージャ(スペイン風オムレツ)、チュロスなどが有名ですが、他にも地域ごとに多様な食文化があります。
例えば、スペイン南部のアンダルシア州では冷製トマトスープであるガスパッチョが有名ですが、これはアンダルシア州の夏の厳しい暑さを乗り越えるために工夫された料理です。
アンダルシア州を含め、地中海沿岸部に目を向けると良質なオリーブや多彩な魚介類などに加え、地域によっては稲作地帯であることから米を使う食文化になっています。
メルカド(市場)を訪れると、そこではウツボや小型のサメ、エイなど、日本ではあまり食用とはされていないような魚を目にすることが多々あり、これらの魚介類はパエリアなどの材料として重宝されています。
なお、先述したパエリアですが、スペイン東岸有数の米産地であるバレンシア州で発祥した料理です。
現在見られるパエリアの多くは魚介類を使っていますが、バレンシアでは昔から変わらずウサギ肉を使ったパエリアが中心です。
同じ沿岸部でも大西洋側に向いている北部沿岸では、地中海沿岸部と異なった魚介類を使った食文化があります。
例えば、カンタブリア州ではイワシ料理が発達しており、「イワシづくし」と言っても過言ではないほどイワシが料理に使われます。
また、日本人に馴染みのあるウナギも盛んに食べられている地域で、フランスと国境を接するバスク地方ではシラスウナギを使用した料理が食べられています。
先述したバスク地方ですが、美食の宝庫として名高い地域です。
スペインのバーなどでは、ハムやサルチーチャ(ソーセージ)、チーズ、魚介類などの具材を串でパンにとめたピンチョスがおつまみや軽食の定番となっていますが、これは実はバスク地方で発祥した料理です。
他にも、スペインワインやサングリア、内陸部の肉料理など、スペインの食文化にはまだまだ多くの魅力が詰まっていますが、中でも外すことができないのがハモン(ハム)です。
スペインのハムというと、イベリコ豚を使ったハモン・イベリコが有名ですが、他にも内陸部の山間部などで生産されるハモン・セラーノも有名で、世界三大ハムの一角を占めています。
スペイン三大祭り
スペインはお祭りでも有名で、中でもスペイン三大祭りは世界中から人々が押し寄せるほどです。
なお、世界三大祭りとはバレンシアのラス・ファジャス(火祭り)、フェリア・デ・アブリル(セビリアの春祭り)、パンプローナのサン・フェルミン祭(牛追い祭り)のことを指します。
バレンシアのラス・ファジャスは、毎年3月中旬の3日間に渡って開催される春の訪れを象徴する祭りで、ファジャ(スペイン語で松明)と呼ばれるロウ人形が市内の至るところで飾られ、最後は盛大に燃やされる祭りです。
カラフルでユーモアに満ちた人形の他、バレンシア大聖堂前のバラのマリア像、伝統衣装を着た人の行進など見所に溢れています。
フェリア・デ・アブリル(スペイン語で4月の市の意)は、アンダルシア州最大の都市セビリアで4月後半に6日間に渡って開催されます。
この6日間で1000軒以上のカセタと呼ばれる派手な屋台がひしめき、そこではグルメを楽しんだり、踊りだす人々で溢れる光景を目にすることになるでしょう。
また、フラメンコドレスを着た人も見られるでしょう。
スペイン三大祭りの中でも危険なことで有名なのがサン・フェルミン祭(牛追い祭り)です。
毎年7月6日から14日までの日程で開催され、7日から14日までの朝はエンシエロ(牛追い)で始まります。
エンシエロでは、サント・ドミンゴ広場から闘牛場までのコースを市民が闘牛に追われながら走ります。
牛追い以外でもリアウ=リアウと呼ばれるワルツ・パレードや聖フェルミンの行進などもあり見所は豊富です。
先述した祭りの他にも、トマトを投げ合うトマティーナなど、スペイン各地に様々なユニークなお祭りがあります。
充実した交通網
スペインは交通網が充実しています。
鉄道網はスペイン各地に張り巡らされ、マドリードからは高速鉄道AVEも各方面へ発着しています。
鉄道網でカバーしきれなかったところは高速バスがカバーするような形になっています。
いずれも早く購入するほど割安になる運賃体系がとられており、例えば、高速鉄道AVEは500㎞近く離れているマドリードとアリカンテを早割りのプロモ運賃で2000~4000円以下で乗車することができます。
これは東京~京都とほぼ同じ距離ですが、同区間の新幹線運賃よりも遥かに安いです。
高速バスの場合はさらにコスパが良く、国内最大手のALSAでは約180㎞離れているアリカンテ~バレンシア間をなんと最安で1000円未満で乗車することができます。
なお、鉄道(長距離)やバスで便によっては直前になって大幅に割り引かれることがあり、その際にトゥーリスタ(普通席)よりもプレフェレンテ(JRのグリーン車に相当)の方が安く乗車できる場合もあります。
各種運賃についてはホームページで確認できますので、下記のURLをご参照ください。
鉄道(Renfe):https://www.renfe.com/es/en
高速バス(ALSA):https://www.alsa.com/en/web/bus/home
また、スペインは空路も充実しており、就航しているLCCが多いことから飛行機も安く乗ることができます。
そのため、空路であっても片道3000円程度というのは決して珍しいことではありません。
過ごしやすい気候
スペインの魅力は過ごしやすい気候にもあります。
先述したように、スペインには地域ごとに多様性があり、気候についても同様のことが言えます。
しかし、共通しているのは全体的に湿度が決して高くないことです。
スペインの気候は全体的に乾燥しており、中でも地中海沿岸部とマドリードを含む内陸部は暑く乾燥しています。
湿度の高い日本の夏と比べると、暑いものの、とてもジメジメしているわけではないスペインの気候の方が過ごしやすいです。
また、乾燥していることで洗濯物が早く乾きます。
ただし、北部については例外的に夏でも最高気温が25℃を超えることがあまりなく、暑さを気にせずに過ごすことができます。
冬は雨の降る日が増えますが、気温は内陸部を除いて10℃を下回ることがなく、温暖な冬になっています。
ただし、内陸部では一部積雪のある地域もあります。
スポーツでも有名なスペイン
スペインは、スポーツ大国としても有名です。
中でも、スペインで有名なスポーツと言えば、サッカーを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
スペインの代表的な強豪チームとしては、レアルマドリードやFCバルセロナが有名です。
他にも、FCセビージャやアトレティコ・マドリードなど、スペインがサッカー強豪国であるだけのことはあって数々の強豪チームがひしめいています。
スペインは、サッカー以外のスポーツではバスケットボールも有名です。
実は、スペインはバスケットボール強豪国でもあり、世界ランキングではなんと2位に位置しています。
バスケットボールというとアメリカのNBAが有名ですが、スペインのリーガACBも外せません。
スペインの代表的なバスケットボールチームとして、レアルマドリードバスケットやFCバルセロナバスケット(FCバルセロナラッサとも呼ばれる)などが有名です。
このように、スペインはスポーツ大国でもあるので、機会があればスペインに留学しながら大学などのスポーツクラブに入部してみるのはいかがでしょうか。
本場のスペイン語を学べる
スペインへ留学することで本場のスペイン語を学ぶことができます。
スペイン語は、中国語、英語に引き続き、世界で3番目の母語人口の多さを誇る言語で、スペインのみならず、ラテンアメリカ諸国やアフリカの一部(赤道ギニアなど)でも公用語として使われているため、スペイン語を習得することのメリットは多くあります。
なお、先述したようにスペインには多様な地域特性があり、地域ごとに訛りや地域独自の言い回しがありますので、教科書では目にしないような地域独自の言い回しを学ぶことができるのもスペインの魅力の一つです。
おわりに
今回は、スペインの魅力を7点に分けて紹介してきました。
今回紹介した魅力を味わうためにも、ぜひスペインへ足を運んでみてはいかがでしょうか。
