ITの急速な発展とコロナによって、近年の私たちの働き方というのは、日本の中でも大きく変わりました。
特に2020年のコロナパンデミックの感染拡大防止のため、日本でも多くの企業はリモートワークを推奨し、大企業ではコロナが終息した後も仕事の半分はリモートワークで行っていくとの方針も出しています。
このような働き方が変わっていく中で、フリーランス、またはリモートワーカーとして活動している人も急増しており、特に、時間、場所に囚われず、自由に世界を転々としながらフリーランスとして働いていく人たちのことを「海外ノマドワーカー」又は「デジタルノマド」(英語では:Digital Nomads)と呼びます。
2021年5月現在、コロナの状況がまだ続いているので現段階での海外ノマド生活は日本人にとっては少し厳しいようですが、ヨーロッパや北米、カリビア海のいくつかの国は急速なワクチンの普及によって、外国人に対して徐々にボーダーを開いてきています。
この記事で紹介するカリビア海などの小さな島国の多くは、その小さな国土ゆえに初期段階からコロナの状況を完全に抑えることができ、現在でもコロナフリーな国としてWHOに認定されているので、コロナの状況がまだ続くと予想される中で、現にコロナの状況がなく安全なそれらの島国に身を置きコロナの危険を回避するような人も増えてきています。
バケーションに関して言えば、既にワクチンを接種済みのアメリカ人や、イギリス人、他のヨーロッパ諸国の人たちは早くて今年の夏から海外生活に戻れる見通しとなっています。
「海外を飛び回って生活してみたい。」
「30歳を超えていてワーキングホリデービザが取得できないが、海外で働いて生活したい。」
「リモートで働きながら世界を見てみたい。」
といった方、歳やコロナのせいで諦めるのはまだまだ早いです!
世界では日本よりももっと働き方がフリーに、そしてリモート型に変わってきているので、何と現在、筆者のリサーチによれば、世界には「デジタルノマドビザ」または「フリーランスビザ」とも呼ばれる海外ノマドワーカーの為のビザが取れる国が18カ国もあります!!
この記事の半分以上の内容は、日本のインターネット上にはまだまだ出回っていない情報なのでリサーチにかなりの時間を費やしましたが、ようやく一覧としてこの記事にまとめることができました。
ぜひこの記事が、日本人の海外移住、海外生活という自由な選択肢の幅を広げることに貢献できれば幸いです。
【アジア一覧】
【ドバイ(UAE)】
昨年2020年10月、コロナのパンデミックの中、ドバイはデジタルノマドやリモートワーカーといったリモートで働ける人に向けた1年間の"バーチャルワーキングプログラム"を開始しました。
このリモートワークビザを取得した人は、他の国で雇用されている場合でも、その国の会社の雇用者としてリモートで働き続けることができ、所得税の徴収もされません。
また、このビザの取得者は家族の引き連れてドバイに来ることができ、子供の学校教育も含めて公共サービスを受ける権利も与えられます。
条件:
- 現在勤めている会社の雇用、又は自分が会社を経営していることの証明
- 月最低 $5,000 USDの給料、過去連続3ヶ月の給料明細と銀行の残高証明書
- ドバイ(UAE)カバーされている健康保険の加入
申請方法:
- オンラインで申請書の記入
- ビザ申請料金 $287 USD の支払い
【ジョージア(Georgia)】
バルバドスとエストニアが先たって開始したデジタルノマドビザのプログラムを、コロナ・パンデミックの影響で失った観光業のロスを建て直そうという意図から、昨年2020年7月にジョージア国も導入を始めました。
ジョージア国のデジタルノマドビザプログラミングは “Remotely from Georgia”と呼ばれます。
日本人にはほとんど馴染みがないジョージア国、北側にロシア、南側にトルコ、アルメニア、アゼルバイジャンと隣接し、東ヨーロッパ、もしくは西アジアに位置する国で、低コストな生活費、カラフルな都市、そして壮大な山々が織りなす景色が観れるがメリット。
条件:
- 自分のビジネスを持つこと、又は、リモートで働けるジョージア国外の会社に雇用されていること
- ジョージア国内に滞在中に税金が滞納できる十分な経済資金を保持していること
- 毎月$2000 以上の収入があること
- 6ヶ月間有効な海外旅行保険に加入していること
申請方法:
- オンラインでの申請書の記入
ヨーロッパ
【ドイツ(Germany)】
ドイツでは、"Aufenthaltserlaubnis für selbständige Tätigkeit" と呼ばれる、ドイツ独自の特別なフリーランスビザが取得できます。
これは長期滞在証の一つで、フリーランス、もしくは個人事業主の人が取得することができ、このビザで6ヶ月から最高で3年間までドイツに合法的に滞在することができます。
ただし、デメリットの一つとして挙げられるのは審査期間の長さです。
申請をしてからビザが降りるまで約3〜4ヶ月間審査がかかると言われています。
条件:
- ドイツ国内の住所が必要
- 健康保険に加入していることの証明
- 自身を養うことができる十分な資金の証明
- ドイツのローカル経済にメリットがあることが条件となるため、ドイツ国内にクライアントがいることが証明できること
申請方法:
【スペイン(Spain)】
スペインは ”Non-Lucrative Visa” と呼ばれる外国人が最低1年間スペイン国内に滞在できるビザを設けています。
ビザは更新可能。
ただし、正確に言うとこのビザは、退職者、又は自給自足できる人に向けたビザであり、スペイン国内で仕事をすることを合法的に認めたものではありません。
条件:
- 月々最低€2151の収入が退職金、又は投資から得られているという証明、又は最低€25,816の貯金証明
- スペインの健康保険に加入している証明
- 無犯罪証明書
- 健康に異常がないことの証明
申請方法:
- 最寄りのスペイン領事館、又は大使館で直接申請することが必要
- 全ての提出書類はスペイン語に翻訳されており、自国より認証(アポスティーユ)がされていること
- 公証人立ち会いの元、「スペイン国内滞在中に働かない」と供述された文書へのサイン
- ビザ申請料金 $140 USDの支払い
【チェコ共和国(Czech Republic)】
12の世界遺産があり、日本人にも有名な観光地であるチェコは、フリーランスとして働く外国人に向けて ”Zivno” と呼ばれるフリーランスビザを設けています。
このビザは一年間有効ですが、更新も可能です。
条件:
こちらに記載されているどれからの項目のライセンスを取得していること
最低1年間の住居が確保されている証明
一人につき€5,587の資金証明
月々 1,800 Kč ($80 USD)のローカルタックスの支払い
申請方法:
- こちらに記載されている必要書類全てを揃える
- 長期滞在ビザ申請ため、チェコ大使館へ予約を取る
- ビザ申請料金€100の支払い
ポイント:
チェコのフリーランスビザ取得は特に複雑なので、現地のエージェンシーを使うのがベター。
【ポルトガル(Portugal)】
ポルトガルは、① ”D7 passive income visa” と呼ばれる一時滞在ビザと、②フリーランスや起業家に向けた移住ビザの2種類を設けています。
どちらのビザも一年間有効で、その後5年まで更新が可能。
ビザを5年間更新した後は永住権の申請ができるようになります。
外国人のビザ保有者は、Título de Residência と呼ばれるレジデンスカードが渡され、これがポルトガル国内での公式なIDとなります。
また、マデイラ・アイランド(island of Madeira)と呼ばれるポルトガルの観光地としても有名な島が、近年海外ノマドワーカーの集まる場所として人気を集めていて、このマデイラ・アイランドは、海外ノマドを集めるためにDigital Nomads Villageというプロジェクトを開始したことでも有名です。
条件:
- 不動産収入、または、自己の経営する会社などから収入があることの証明
- 月々最低 €600 の収入があること
- 海外旅行保険に加入していることの証明
- 無犯罪証明書の提出
申請方法:
【クロアチア(Croatia)】
現在クロアチアに在住、オランダ生まれの起業家 Jan de Jong 氏は、エストニアのデジタルノマドビザが開始された直後、クロアチアの首相Andrej Plenkovicに、「エストニアのデジタルノマドビザの例をクロアチアも直ちに従わなければならない!」との旨を綴った手紙を送ったのが、今年2021年1月にデジタルノマドビザのプログラムをクロアチアが導入したきっかけ。
Jan de Jong がクロアチア首相に手紙を送ったストーリーはこちら。
クロアチアのデジタルノマドビザは、最長で12ヶ月間取得可能。
現在、クロアチアのデジタルノマドビザの申請はクロアチア国内、現地での申請のみ可能となっています。
条件:
- 個人事業主であること、またはリモートで働けることの証明
- 月々最低€2500の収入、または貯金の証明
- 無犯罪証明書の提出
- 滞在期間分有効な海外保険に加入していること
申請方法:
こちらに記載されている必要書類全てを揃える
OIB identification number(クロアチア在住者が取得できる個人番号)の取得
ビザ申請用紙の記入
ビザ申請料590 kunaの支払い
【ノルウェー(Norway)】
ノルウェーには2種類の滞在の仕方があります。
まず1つ目の方法は、Longyearbyen(ロングイェールビーン)という、ノルウェー領スヴァールバル諸島の地球上で一番北に位置する町がある Svalbard(スヴァールバル諸島)というエリアには、どこの国から来る人であろうとビザなしで住むことができます。
そして2つ目の方法は、ノルウェーでは Independent Contractor visaと呼ばれる、2年間まで滞在可能なフリーランスビザの取得です。
条件:
- 自営業者であり、また、ノルウェー国内のビジネスに関わるプロジェクトに携わること
- 自分の職業に関連した資格の提示
- ノルウェー国内の住所
- 1年間に最低 €35,719(税金を引く前)の収入があることの証明
申請方法:
こちらに記載されている必要書類全てを揃える
ビザ申請用紙を記入し、最寄りのノルウェー大使館に提出
ビザ申請料 €600の支払い
【アイスランド(Iceland)】
アイスランドもリモートワーカーや海外ノマドのために独自の長期滞在ビザを設けています。
アイスランドの長期滞在ビザの有効期間は6ヶ月間までとなっていますが、もしもシェンゲンエリア内でビザの申請をすると、ビザの有効期限は3ヶ月間しか与えられないので注意が必要です。
アイスランドの長期滞在ビザをフルに活用したい場合は、シェンゲンエリア外でビザを取得してからアイスランドに渡航することをお勧めします。
条件:
- 自己の経営している会社、またはリモートで勤務している会社がアイスランド国外にあること
- 自営業、または雇用されいることの証明
- 月々最低 1,000,000 ISKの収入があることの証明
- アイスランド国内で有効な海外旅行保険に加入していることの証明
申請方法:
- ビザ申請用紙の記入
- ビザの審査料金 7800 ISKの支払い
【エストニア(Estonia)】
世界でいち早くe-residency(イーレジデンシー)プログラムを取り入れたとして有名なエストニアは、2020年6月に海外ノマド、フリーランサーに向けたデジタルノマドビザのプログラムを導入しました。
このデジタルノマドビザは、e-residency(イーレジデンシー)プログラムとは異なり、外国人がリモートで働きながらエストニア国内に最大1年間滞在できることを可能にしたビザです。
条件:
- location independent business(場所に依存しないビジネス)を経営していること、または、エストニア国外に拠点を置く会社にリモートで勤務していること
- 過去6ヶ月に月々最低€3504の収入があったことの証明
申請方法:
- オンラインよりビザ申請用紙の記入とサインをした後、最寄りのエストニア大使館または領事館で予約を取り申請書の提出
- ビザ申請料は、短期滞在ビザ(Type C)が€80 、長期滞在ビザ(Type D)が€100 とビザの種類により異なる。
カリブ海
【メキシコ(Mexico)】
その気候の暖かさと、数多くの有名なビーチを持つメキシコは、バケーションや観光地としても有名ですが、多くの海外ノマドが集まる場としても知られています。
メキシコには観光ビザで6ヶ月まで滞在が可能ですが、1年間有効な一時滞在ビザを取得することも可能です。
メキシコの一時滞在ビザは取得後、3年間まで更新が可能なので、合計4年間メキシコに滞在することができます。
条件:
- location independent business(場所に依存しないビジネス)を経営していること、または、メキシコ国外に拠点を置く会社にリモートで勤務していること
- 過去6ヶ月間に月々最低 $1,620 USDの収入があった証明、または、$27,000 の残高証明
申請方法:
【コスタリカ共和国(Costa Rica)】
雄大な自然に囲まれ、リラックスしたライフスタイルから、コスタリカはバケーションを楽しむ観光客だけではなく、多くの海外ノマドが拠点とする場所としても有名です。
コスタリカのデジタルノマドビザは "Rentista" と呼ばれ、2年間まで滞在が可能となりますが、その後のビザの延長も可能です。
条件:
- 過去2年間に月々$2,500の収入があったことが証明できること、またはコスタリカの銀行に$60,000のデポジットを収める
申請方法:
- コスタリカのデジタルノマドビザは、コスタリカ移民局のウェブサイトMigracion Websiteより申請が可能ですが、多くの人は移民コンサルタントや弁護士を雇って申請しています。
- 全ての書類はスペイン語の翻訳、そして自国での認証(authentication)が必要
- ビザの申請料$250の支払い
【アンティグア・バーブーダ(Antigua & Barbuda)】
カリビア海東部に位置するアンティグア・バーブーダは、リモートで働く人向けに Nomad Digital Residence (NDR)と呼ばれるデジタルノマドビザを設けています。
このビザは2年間有効。
ビザの取得者は、アンティグア・バーブーダ国内に滞在する予定期間有効な健康保険の提示が求められます。
条件:
- location independent business(場所に依存しないビジネス)を経営していること、または、アンティグア・バーブーダ国外の会社にリモートで勤務していること
- 年に最低$50,000の収入があること
- 海外旅行保険に加入していること
申請方法:
- オンライン申請用紙の記入
- 雇用の証明
- 無犯罪証明書の提出
- 一人$1,500のビザ申請料の支払い、家族三人以上の場合は$3000
【バルバドス(Barbados)】
バルバドスは“Barbados Welcome Stamp”と呼ばれるデジタルノマドビザをリモートワーカーの為に設けています。
このビザは12カ月間有効で、一年以上の更新をすることも可能。
条件:
- location independent business(場所に依存しないビジネス)を経営していること、または、バルバドス国外の会社にリモートで勤務していること
- 1年間に最低$50,000以上の収入があること
申請方法:
【バミューダ(Bermuda)】
バミューダは今年に入って“Work From Bermuda”と呼ばれるデジタルノマドビザを設けました。
このビザの取得によって海外ノマドやリモートワーカーはバミューダ国内に最大一年間滞在しながらリモートで仕事をすることが許されます。
条件:
- location independent business(場所に依存しないビジネス)を経営していること、または、バミューダ国外の会社にリモートで勤務していること
- 収入額の証明は必要なし!!
- 海外旅行ビザに加入している証明
申請方法:
- オンライン申請用紙の記入
- 必要書類の提出後、$263のビザ申請料の支払い
【ケイマン諸島(Cayman Islands)】
ケイマン諸島は”Global Citizen Certificate (GCC)”と呼ばれる外国人が2年間まで滞在可能なデジタルノマドを設けています。
ただし、このビザのデメリットとして挙がられるのが収入証明。
ケイマン諸島がこのデジタルビザの申請者に求める額は最低年収 $100,000と他の国と比べると遥かに高いです。
条件:
- ケイマン諸島国外の会社にリモートで勤務していること
- 公証(notarization)がなされた銀行からのバンク・リファレンス・レター(bank reference letter)
- 加入している健康保険の証明
申請方法:
- オンライン申請用紙の記入
- 必要書類の提出後、ビザ申請料$1,469の支払い
【アンギラ(Anguilla)〜イギリス領〜】
イギリス領の島アンギラはつい先日、独自のデジタルノマドビザを設けました。
この島ではこれまでに3件のコロナ感染者しか確認されておらず、2020年の6月に World Health Organization (WHO)からコロナフリー地域と指定されました。
ビザ申請料は一人$2000、家族二人ごとに$3000 の追加費用が別途必要となっております。
申請方法:
- こちらよりオンラインでビザの申請
- 一人$2000、家族二人ごとに$3000のビザ申請料の支払い
アフリカ
【モーリシャス島(Mauritius)】
アフリカ南東部、マダガスカル島から東方に900Kmから離れたインド洋上に浮かぶモーリシャス島は「山・海・滝」の絶景が楽しめる日本人にはまだあまり知られていない海外では有名なリゾート地です。
モーリシャス島はリモートで働く人の為に ”Premium Visa ”と呼ばれる独自のデジタルノマドビザを設けています。
この1年間有効なビザは完全無料で申請することができますが、申請するにあたり滞在期間内の滞在プラン、旅行プラン、健康保険についての詳細を事前に証明することが条件となります。
条件:
- location independent business(場所に依存しないビジネス)を経営していること、または、モーリシャス国外の会社にリモートで勤務していること
- モーリシャス国内に滞在中のプランの提示
- モーリシャス国内で有効な海外保険の加入
申請条件:
- ビザ申請用紙の記入
- 申請料は無料!!
【最後に】
以上、2021年5月時点での、世界のデジタルノマドビザが取れる18の国の紹介でした!
一昔前、まだITというものが進んでいなかった時代では、海外移住というと留学、日本駐在の仕事を手に入れる、または現地での就職と、選択肢も限られていて、英語を話すことができない日本人が海外に移住するというのはとてもハードルが高いものでした。
しかし、時代は変わり、現在はITの進化のおかげでパソコン一台あれば世界のどこにいても仕事をできるという自由な働き方が可能となってきたので、「海外移住」に興味がある方は、これからがチャンスです!!!!
当ウェブサイト World Map Japan では、そういった「海外に行ってみたい!」「留学情報を集めたい!」「海外移住を叶えたい!」といった、海外に興味のある日本人の方に向けて世界各国の最新情報を公開していますので、是非とも当ウェブサイトが少しでも役に立てってもらえれば幸いです。
上記の国以外に新たにデジタルノマドビザを導入した国があれば、随時この記事を更新していきますので、この記事と World Map Japan の公式Twitterアカウントの方のチェックもお忘れなく!
それではまた!Adios!!

KAI(World Map Japan 代表、マーケティング担当、ライター)
在住国:現在エストニア在住、過去カナダに5年間在住
海外歴:7年
今までに訪れた国:32カ国
話す言語:英語、スペイン語、エストニア語(勉強中)
資格:英検1級、TOEIC940
ひとこと:世界各国の全ての情報がこのサイトで閲覧できるよう日々活動していますので、どうぞ宜しくお願いします!