僕の執筆した他の記事でも何度か触れましたが、僕はエストニアのタリン大学の Liberal Arts in Humanitiesという学科(ここでは人文学科と呼んでいくことにします)に交換留学ではなく、入試に合格して入学した正規大学生として所属しています。
今回の記事では、タリン大学の願書の出願方法から、入試の受け方、そして実際に僕が入試として受けた面接で「一体どんな事を聞かれたのか?」まで、タリン大学に入学するまでの流れを全て紹介していきます!
*ただし、1つ注意事項として先に触れておきますが、この記事は僕が受験を受け入学したタリン大学の人文学科に限った話になりますので、同じ大学でも他の学科であったり、また他の大学では入試内容などを含め、入学条件などが変わってきますのでその辺りはご了承ください。
僕と同じように英文学や人類学に多大な興味を持っている方は、エストニアでは英語で受講可能な人文学科の Bachelor(学士)プログラムを提供しているのはこのタリン大学しか無いので、この記事が必ず役に立ってくれるとは思います。
また、理系やビジネス学科、またエストニアの他の大学に正規入学を考えている方も、このような入試の内容や流れを紹介している記事というのは今のところ日本のインターネット上には無いので、この記事を読むことで少しはエストニアの大学に正規入学する過程のイメージが掴めるかと思います。
エストニアは本当に素晴らしい国で、ビザに関しては、日本人はオランダみたいにかなり優遇されているので、これからもっと多くの日本人がエストニアの良さを知ってもらえると嬉しいです!
Contents
タリン大学に入学できる難易度
最初に、まずは誰もが気になる、大学入学の難易度から紹介していきます。
日本だと偏差値というのが大学を選ぶ時の基準ですが、ヨーロッパでは偏差値というものは存在しません。
ヨーロッパでは、「大学で教育を受ける権利というのは誰にでも平等に与えるべきだ」という概念が強くあるので、ドイツやフランスなどは現地の学生はもちろん、外国人の留学生にも授業料が無料のような大学もありますし、今回紹介しているエストニアのように大学費が日本の3分の1以下という国もたくさんあります。
と言うわけで、自分の行きたい大学の特定の学科に受かるかは置いておき、誰でもどこの大学にも出願する権利がありますので、ここタリン大学も、学科によって特定の出願条件を満たせば誰でも出願することができます。
ここでタリン大学の入学難易度ですが、はっきり言うと、タリン大学はあまり入学が簡単な大学とは言い難いです。
と言うのも、タリン大学は割と小規模の大学で、全生徒を合わせても7000人ほど。
僕の人文学科は、一年生の正規入学者は全員で約30人ほどですので、一つの学科の定員と言うのはかなり少ないです。
uniRankによると、タリン大学の合格率は20%〜30%と表記されています。
もちろん、これはあくまでも大体の目安であって、合格率は学科や、コロナなどその時のシチュエーションによって変わってきますが、タリン大学は少人数制の学校でありながら世界各国から出願をする学生たちがいるため、倍率は必然と高くなります。
入試課程の大まかな流れ
先にタリン大学の人文学科へ、出願から入学するまでの大まかな流れをざっと紹介します。
タリン大学の入試は、二次試験制となっています。
一次試験:志望動機
↓
二次試験:面接(オンライン)
まず一次試験では、志望動機が審査され、満点30ポイントの内、最低20ポイントを取らないと2次試験の面接へと進むことができません。
そして一次試験を無事にパスし、二次試験に進むと面接(オンライン)となり、この面接では一般的な質問と、予め指定されていた課題について質問がされ、70ポイント満点の内、最低46ポイント取らないと合格となりません。
要は、一次と二次試験のトータルで最低66ポイント取得しないと入学はできないということになります。
出願条件
- Application(願書)
- Letter of Motivation(志望動機)
- Proof of English Proficiency(英語能力の証明)
- Secondary School Certificate(高校卒業証明書)
- CV(履歴書)
Letter of Motivation(志望動機)
志望動機は、自分の受ける学科によって変わってきますが、ここでは人文学科に出願する場合の志望動機の紹介です。
- 大体500wordsで収めること
- なぜタリン大学の人文学部に入りたいのか?
- 人文学とは何か?そして、なぜ人文学に興味を持っているのかを自分の言葉で説明
- 人文学部のプログラムで特にどの分野に興味を持っているのか?
- 人文学部を卒業することでどのような利益が得られるのか?
上記がタリン大学人文学部のページに記載されている志望動機の要項です。
Proof of English Proficiency(英語能力の証明)
英語能力の証明に関しては、特に日本語訳にする必要がないので、タリン大学の公式サイトからそのまま英語レベルの基準に関した要項を下記に引用します。
残念ながら、タリン大学を含め、海外の多くの大学では日本人が必死に勉強しているTOEICのスコアは使うことができません。
海外留学に際して、日本人にメジャーなテストのIELTSとTOEFLに関して言えば、IELTSはアカデミックのオーバーオール6.0、TOEFLは72がタリン大学に出願する上で最低限必要な英語レベルとなります。
この英語レベルの基準は、タリン大学のどの英語プログラムに出願する際にも共通の基準となります。
- IELTS (International English Language Testing System) academic: 6.0 (with a minimum of 5.5 in each component). A copy of the IELTS Test Report Form is accepted as it will be verified online by Tallinn University.
- B2 First (First Certificate in English): 169 (with a minimum of 169 in each component)
- C1 Advanced (Certificate in Advanced English): 169 (with a minimum of 169 in each component)
- C2 Proficiency (Certificate of Proficiency in English) : 169 (with a minimum of 169 in each component)
- TOEFL (Test of English as a Foreign language) internet based (TOEFL iBT® Test): 72 (with a minimum result of 18 in reading, 17 in listening, 20 in speaking and 17 in writing component). The test result has to be sent directly to Tallinn University, by the test centre. It is also possible to order the test results to be sent to Tallinn University online (Tallinn University Code number is: 0449).
- PTE academic (Pearson test of English): 59 (with a minimum of 59 in each component). Test result has to be sent to Tallinn university through the secure PTE portal.
タリン大学の公式サイトより引用 https://www.tlu.ee/en/proof-english-proficiency
出願方法
ヨーロッパの多くの大学では、オンラインで完結する出願方法が主流となっていて、もちろんデジタル先進国のエストニアでも1から10までの出願手続きは DreamApply という、多くのヨーロッパの大学が使用する大学出願サイトで行いますので、基本的には大学から特定の要望がない限り、書類を郵送するような手続きは必要なく、オンラインのみで全てが完結できます。
僕が実際に入試を受けてみた感想とアドバイス
一次試験:志望動機
まず志望動機に関しては、オンラインで提出して、特にフィードバックを貰えるわけでもないので、あまり言えることはないのですが、とりあえず僕が気をつけたことはできるだけアカデミックな英語で(例えば、スラング、省略、同じ単語の重複を避けるなど)、文法ミス無く書くことに気をつけました。
アカデミックな文章の書き方などは、今後別記事で詳しく紹介したいと思いますが、Grammarlyは欠かせません!
英語はたくさんの文字が連なって一つの単語を作るので、日本語よりもスペルミスを起こしやすく、ネイティブでもGrammarlyを使ってできるだけスペルミスを減らします。
Grammarlyに加えて、一次試験の志望動機で落とされてしまっては元も子もないので、僕はネイティブの英語の先生にもスペルミスや文法の間違いが無いか、もっと良い表現の仕方がないかなどもチェックしてもらい、できる限り完璧なレベルに仕上げました。
最近では、166円からのオンライン英語添削[アイディー]などのように、手軽に自分のライティングを添削してくれるサービスがあるので、こういった入試などの大事な機会にこのようなサービスを活用するのはとても良いアイディアだと思います。
Grammarlyは無料で誰でも使用することができるので、絶対に活用することをお勧めしますが、自分の英語のライティングにあまり自信が無く、それでもタリン大学が第一志望の方は、数百円払ってでもオンライン英語添削[アイディー]を活用することもお勧めします。
二次試験:インタビュー(面接)
さて、問題はインタビュー(面接)ですね。
ここでは、僕の経験したインタビューをできるだけ詳しく解説していきたいと思います。
まずインタビューは、一次試験をパスした後に学校側と日程を決めZoomを通して行われました。
二次試験の内容について大学のサイトに記載されていたのは、主に自己紹介から、なぜタリン大学の人文学部に入りたいのかの一般的な質問、そして、あらかじめ指定された学術的な記事についてのアカデミックなディスカッションという流れです。
学術的な記事については、こちらのリンクに飛ぶとどんな記事が指定されていたのか閲覧することができますので、興味にある方は覗いてみてください。
僕はというと、環境問題と自伝に興味があったことから
- Wes Berry "Switching on Light Bulbs and Blowing Up Mountains"
- Edwidge Danticat "Epilogue: Women Like Us"
を学術的な記事の選択肢の中から選びました。
インタビューでは、自分の選んだ2つの記事を読み、ディスカッションをするという形になりますが、主に質問されるのは以下のような質問だとタリン大学のサイトには丁寧に記述されています。
think of their meaning,
why they are important texts in the particular area,
how they represent important aspects of culture, history, anthropology, or literature;
what important issues they raise and what is your opinion of these issues;
have you read something similar before,
is it connected to your areas of interest, etc.
タリン大学公式サイトより引用 https://www.tlu.ee/ht/liberal-arts-humanities-interview-texts
さて、ここまで見るとかなりアカデミックなインタビューになると予測できますね。
僕は、自分の選んだ記事を読み、一般的な質問+上記のアカデミックな質問をwordにまとめ、事前準備に5時間ほどは費やしました。
さて、ここからは二次試験当日の話。
当日は、時間ぴったりにインタビューが始まり、まず驚いたのは、教授が6人ほど参加しており、6対1というインタビューであったこと。
そして、次に驚いたのは、予想していた通り一般的な志望動機などの質問から始まりましたが、質問に対した自分の答えから掘り下げられ、僕の場合は過去に英語で小説を出版していたので、多くは僕の出版に関して個人的な質問を各教授から受けました。
ある程度出版に関した質問が終わり、僕の選んだ1つ目の記事についての感想を聞かれると、インタビューはそこで終わりとのこと。
「あれ?2つ目の記事については?」「もっとアカデミックな質問は?」と僕が困惑していると、教授たちはその後にも他のインタビューがあり15分以上の時間は取れないとの事。
ということで、思っていたよりもフリースタイルのインタビューとなりました。
*追記
後に僕のクラスメイトとインタビューの話をしたところ、人によっては面接官が2人しかいなかったり、アカデミックな質問は一切されなかったり、とかなり人によってインタビューの内容は異なるようです。
ただ、もしもアカデミックな質問がされた時の為に、事前に想定される質問などを書き起こして万全に準備しておいても損はないと思います。
合否の通知
僕のケースだと、二次試験の面接が終わってから3日後に、自分のトータルの入試を終えたスコアと二次試験合格の連絡が届きました。
本当はここで「やったーーー!!」と叫びたかったところなのですが、何とここの二次試験合格の連絡は、あくまでも「二次試験の合格通知」であり、入試自体はここでは終わりではなかったのです!
最後に残った入試のプロセスは、『学校側による書類の最終チェック』。
要は学校側が、こちらが提出した書類に誤りや偽造の疑いがないか入念にチェックするプロセスということです。
もちろん僕が提出した書類は、全て本物なので何も恐れる必要はなかったのですが、僕が一つ気がかりだったのが、学校側から高校の成績書を要求されないかどうかとのこと!
この件に関してはこちらの別記事【大人の海外留学】高校の成績証明書が無くても入学できるヨーロッパの大学で詳しくまとめましたが、ここで手短に言うと、僕は20代後半になってから大学の学士過程に進学するというケースで、日本の制度により高校の成績表というのが手に入らないのです。
この結果、「高校の成績表が求められないヨーロッパの大学はどこ?」と何十時間にも及ぶ多大なリサーチの結果、このタリン大学に辿り着いたわけです。
少し話が逸れてしまいましたが、僕はこの『学校側による書類の最終チェック』が終わり、正式に入学証明書が送られてくるまで毎日ヒヤヒヤして、1日に何度もメールをチェックしていました!
というのも、この『学校側による書類の最終チェック』は最大で1ヶ月もかかるのです!
*補足
この『学校側による書類の最終チェック』、学校側は最大1ヶ月かかると言いますが、僕は1ヶ月を過ぎても連絡が来ず学校側に催促の連絡をしたら、メールを送った10分後には入学証明書が送られてきて、「何だ、もう既にチェックは終わってたのですね。」という感じになりました。
1ヶ月しても連絡が来ない場合は催促の連絡をすることをお勧めします!
合格後の流れ
入試に関しては、無事に学校側から入学証明書が送られてくればそこで入試はお終いで、晴れて、盛大に家族や友達と合格祝いのパーティーを挙げられます。
ただ、海外留学と言うのは皆さんもご存知の通り、学校の入学が決まって全てがお終いという訳ではありません。
そこからビザ、保険、滞在場所の確保、航空券の購入、現地での生活についてのリサーチなど、住む国が変わるのでやることは山積みです。
しかし、これからエストニアへ留学を検討されいる方に向けて、大学合格後にすること、現地での生活の様子なども全てこのサイトで徐々にアップしていきますのでご安心ください。
僕のエストニア現地でのリアルな生活の様子については、リアルタイムで僕のTwitterを通して毎日ツイートしていますので、リアルタイムで情報が得たい方はそちらの方もチェックしてみてください!
初めまして!!!!
2021年の7月に #エストニア 🇪🇪に移って #海外ノマド として生きている KAI です😎
これからエストニア🇪🇪に関する情報をこちらのTwitterアカウントと #ワールドマップ というブログサイトの方でアップしていきますので、どうぞよろしくお願いします👍#ノマド#ヨーロッパ pic.twitter.com/C7xbEB7166— KAI@エストニア🇪🇪 (@kai_nomad) August 9, 2021

KAI(World Map Japan 代表、マーケティング担当、ライター)
在住国:現在エストニア在住、過去カナダに5年間在住
海外歴:7年
今までに訪れた国:32カ国
話す言語:英語、スペイン語、エストニア語(勉強中)
資格:英検1級、TOEIC940
ひとこと:世界各国の全ての情報がこのサイトで閲覧できるよう日々活動していますので、どうぞ宜しくお願いします!